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秋の夜長に。「がん消滅の罠 完全寛解の謎」読書レビュー

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「がん消滅の罠 完全寛解の謎」 著者:岩木一麻

 

2017年1月26日 第1刷発行

発行所:㈱宝島社

 

第15回 『このミステリーがすごい!』大賞

 

あらすじ

日本がんセンターに勤める医師・夏目は、生命保険会社に勤務する友人から、保険金の不正受給の可能性がある案件について質問を受けた。

余命半年の宣告を受けた患者が、リビングニーズ特約の生前給付を受け取った後も生存しており、それどころか、その後に病巣がきれいに消え去っていた。

同様の保険金支払いが立て続けに起きており、今回で四例目だという。

連続する奇妙ながん消失事件。

いったい、がん治療の世界で何が起こっているのかー。

 

 

この作品、第15回『このミステリーがすごい!』大賞を受賞しているだけあって、

いろいろなところで見かけることがあったんですね。

ミステリー作品は好きなんですが、医療系はどーも頭がついていかなくて・・・

と思ってやり過ごしていたのですが。

 

ここ最近、やたらとこの本の書評とか、紹介文に出くわすことがあって、頭の片隅にはちらついていたのですが、

先日、ふらっと図書館に行き、プラプラと歩いてふと目を留めると、

その先にあったのが、この本でした。

 

これはもう、読め!ってことかね・・・

 

と思い、貸出5冊の1冊にエントリーされたのでした。

 

 

で、感想ですが。

 

一言で言ってしまえば、

これは医療のお話しではなく、人間のお話しですね。

 

愛とはなにか。

その愛は、誰にとっての愛なのか。

 

お話のできとしては、

(そんなことエラそうに語れる口じゃないんですが)

医療系がよくわかんない系の私でも、

なんかやたら、医療分野に関してリアルだな・・・

と思っていたら、

著者が実際に医療研究に携わっていた方だそう。

 

私は書評で内容をさらすのがあまり好きではないので、

展開や結末に関しては明記しませんが、

 

ずーっと読み進めて、読み進めて、

読者に対してどんどん謎が明かされていって、

残りページ数から考えて、あとわずかだけども、

あーだこーだあったけども最後どう締めるのだね?と

わくわくしながら、

ついに、最後の、一文、読んで、

 

 

「えぇー!!」ってリアルに言っちゃいました、声に出して。

 

いい意味でも、悪い意味でも・・・・

 

物語というのは、読み手が登場人物の誰に視点を置くかによって

話の内容が変わってきます。

誰に共感したか。誰に感情移入したか。

誰を自分に置き換えたか。

 

このお話は、この「誰に視点を置くか」によって

ハッピーエンドともバッドエンドともとれるかと。

 

 

私的には、超・バッドエンドでした。

 

一番、それがまかり通っちゃいかん!と思っていた結果で終わってしまいました・・・

 

 

まぁいずれにせよ、

最初は、医療系はちょっと・・・と思って遠慮していた作品でしたが、

偶然に導かれるまま読んでみて、正解でした。

 

物語というのは、「人間のおなはし」です。

 

どんなに科学が進歩しようとも、医療が進歩しようとも、

それを利用する人間の感情が、

その知識や技術を良くも悪くも利用できてしまう。

 

誰かにとっていいことが、

また別の誰かにとっては、悪いことだったり。

 

その逆も、然り。

 

恋愛、友愛、家族愛、親子愛・・・

様々な愛の形があって、

誰しもが様々な形で愛を感じたり、表現したり、相手に求めたり。

 

でも、

「愛」ってなんでしょうね。

 

私はこの作品を読んで、

「愛しているから」「愛しているがゆえに」

相手に何かをしてあげよう、とか、

そもそもそれって、愛なんだろうーかね?と

考えさせられました。

 

親が子を愛するがゆえに、

その子を守るためなら、その子が受けた屈辱をはらすためなら、

なにをしてもいいのか。

 

法律的には、黒だったり、限りなく黒に近いグレーだったり、

それでも、「愛ゆえに」人道的には無罪なんだろうか・・・

 

美談っぽいですけどね、「愛ゆえに」こうするしか、仕方がなかったんだ!となると。

 

でも、おたくの「愛ゆえに」行った行動が、

全くおたくの予想もしなかった誰かさんをまた、傷つけているというのに。

 

この作品で、唯一本当の「愛ゆえに」行動したのは、

先生の娘として登場する、恵里香さんかと思います。

 

本当の愛は、「相手の幸せを願うこと」。

愛しているから、相手にこうあってほしいとか、

相手のためになにかをする、という行為は、

もしかしたら、

「愛しているから、自分が、相手にこうしてあげたい」という自己満足なのかもしれません。

 

ただ、相手の幸せを、願う。

たとえ自分に見返りがなくても。

 

それができれば苦労はしないんですが・・・

 

 

 

 

 

 

 

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